Kindle DX購入

以前から気になっていたKindleをついに購入しました。電子書籍リーダーを購入する理由は人それぞれだと思いますが、私の場合は以下の2つが主な動機でした。

  • 仕事がら、洋書の技術書を買うことが多い。しかし大抵分厚くてかさばるので持ち歩きに不便であり、電車にのる時間が主要な読書時間となっている身としては、じっくり読むことができない。結果として本棚の肥やしとなるし、場所をとって邪魔になる。
  • やはり仕事がら論文やホワイトペーパーなどのPDF文書を読む機会が多い。1本をじっくり読むなら印刷して赤ペン入れながらというのが好きなのだが、大量のものをざっくり読みたいときには印刷するだけで面倒くさいし紙が邪魔。

Kindleを買う場合には2010年10月現在、3つの選択肢があります。

WiFiオンリー版普通サイズKindleは現在たったの 139USD という低価格のため、円高の現在かなりお買い得で心が揺れたのですが、PDFを読むにはやはり大画面がよさそうということで、Kindle DXに決定しました。送料もろもろ合わせて約3万5千円くらいの出費になりました。

注文して4日くらいでさくっと到着。充電してスイッチを入れると Welcome XXXX と、すでに自分の名前が表示されています。amazon.com の自分のアカウント情報が登録されていて、何もしなくてもそのまま使えるという仕組み。これはITに慣れていないユーザには嬉しいだろうなあ。

画面はe-ink でとても読みやすいです。紙と比べても遜色ない読み心地で、バックライトがないので目が疲れませんし、日光の下でもちゃんと読めます。ただし描画は遅いです。ぺーじをめくるとき、一度画面を黒く塗りつぶしてから再描画するので、iPadなどの美しいディスプレイに慣れていると違和感を感じると思います。コンピュータじゃなくて「本」なのだと割り切るべきでしょうね。

重さは意外と重くて、片手だとちょっと疲れる感じ。両手なら問題ありません。

A4版のPDFを表示してみたところ。問題なく読めますが、若干縮小されるのでもとのフォントが小さい場合はちょっとくるしい。そんなときは画面を横にすることで読みやすくなるので、問題ありません。

ただ横に表示する場合にちょっと残念なのが、A4版の1ページを表示すると3画面に分割されるところ。
最後の1画面はページの下端がちょっと表示されるだけなので、画面サイズか表示サイズを調整してなんとか2画面におさめることはできなかったのか、と思ってしまいます。まあそれほど実害はないのですが。

電子書籍の場合にはより柔軟に、フォントサイズを変更できます。
また、いくつかの便利な機能があります。

1) インラインで辞書表示。わからない単語にカーソルを当てると、英英辞典の説明が表示されます。PDF版ではインライン表示ができないのですが、辞書自体を単独で使うことはできるので、移動中などには便利です。

2) 本文中に線を引いたり、コメントを入れたり、ブックマークをつけたりできます。
つけたコメントを他の人と共有したり、Kindleから直接TwitterFacebookで呟いたりできます。(Twitterと連携する場合、OAuthを使っているみたいで、後述のWebブラウザTwitterのOAuth確認画面に飛ばされます)

コメント入力中

脚注のような印がつきます

コメントなどは一覧として見ることもできます。

3) 音声読み上げ機能があります。試験的機能という扱いですが、とても自然な読み上げで、非常に聞きやすいです。私は英文を読むのが遅いので、読まずに聞いていた方が楽なくらいです。(でもそれでは、大画面のDXを買った意味がなくなってしまう。。。) ただし電子書籍限定で、PDFは読み上げできません。男声と女声から選択できます。

4) やはり試験的機能という扱いで、NetFront というモバイル向けのWebブラウザが入っています。ただし日本語は表示できないのと、描画の遅さや入力デバイスの制限、モバイル向けブラウザという制限のため、通常のWebブラウジング環境とは思わないほうがよいでしょう。他に選択肢がない際にちょっと使える、という程度の期待にしておいた方がよさそうです。
ためしにTwitterモバイル版を表示してみたところ。

わ、わからん。。。

5) PDFやそれ以外のファイルをメールで xxxxx@kindle.com というアドレスに送ることで、Kindle上で表示できます。しかしこれには問題もあるのです。詳しくは後で書きます。PDF以外のファイルを送るとAmazonのサーバで変換してKindleに転送してくれるようです。

6) Kindle storeには電子書籍以外のコンテンツもあります。

毎日新聞英字版を購読してみたところ。

Kindle Storeにはゲームもあります。懐かしのマインスイーパーを入れてみました。


嬉しくないところ

と、嬉しいところだらけのKindle DXなのですが、嬉しくないところもあります。

一番の問題は、ネットワーク接続が3Gのみであること。このWhispernetという3G接続はUS国内では無料らしいのですが、日本で使う場合は海外ローミングしていることになります。日本から使う場合には、

  • Kindle storeからの本の購入やWebブラウジングは、無料です
  • ただし新聞購読などには一週間あたり $4.99 の費用がかかります
  • さらにメールで xxxxx@kindle.com というメアドをつかってKindleにファイルを転送した場合、1MBあたり $0.99 の費用がかかります。切り上げ方式なので 1.1MBのファイルでも2MB扱いで $1.98 かかることになるので、気軽に使うにはちょっとお高いのです。
  • WiFi接続の場合には xxxxx@free.kindle.com という無償アカウントが使えるらしいのですが、DXはなぜか3GのみでWiFi搭載がないために使えません。こんな大きいのにWiFiはなしだなんて、なぜ。。。

PDFについてはUSB経由で転送もできるので今はこちらを利用しているのですが、仕事用のパソコンはセキュリティ上の理由でUSBに書き込めないようになっているので使えません。

さらにメールを経由してファイルを送る場合、送信者のメールアドレスが amazon.com に登録されているメールでないと、転送されないようです。多分SPAMや悪意ある第三者によるファイル転送を防ぐ目的だと思いますが、その気になればメール送信者のアドレスはいくらでも改ざんできるので、セキュリティ対策としてはあまり強くないですね。(SPAM対策というのが妥当な位置づけかと思います)

今のところ職場からは amazon.com に登録されている私用メールアドレスからメールを送る*手頃な*手段がないため、現在のところ職場からはまったくPDFファイルをKindleに転送できなくて、これが一番の不満です。退社前に読みたいファイルをちょちょっとKindleに転送して帰りの電車で読む、っていうのをやりたかったのですが。。。

最後に、電源を切るとスクリーンセーバー的な絵が表示されます。電気を使わなくても画像を保持できる e-ink ならではですね。白黒ですがグラデーションが奇麗で、毎回色々な絵がランダムに表示されるので、目を楽しませてくれます。